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「これでどうだ」
お爺さんの一手に私は目を見開く。
そして、フゥとため息を吐いて
「ありません。負けました」
と、投了する。
負けて悔しい私の心の内を余所に周囲が沸き立つ。
拍手、拍手、拍手
ここが図書館の読書スペースだというのに割れんばかりの拍手が鳴った。
キョトンとする私にお爺さんが一言。
「いや、流石にこれは驚いた。今の局では本気を出してしまったよ」
「それでも負けましたけどね」
私は少し嫌味を込めて吐き捨てる。
しかし、お爺さんはとても嬉しそうに語る。
「いや、何を言ってるんだ!これはすごい才能だよ!」
その褒め言葉に私は首を傾げる。
「才能?」
「ああ!いや、なんでかと言われると実は私は」
お爺さんの高まったテンションを急落させるように私は言葉を発する。
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