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「あ、う……。最近の若い者の思考はよくわからんな」
「アハハッ、そうれはそうですね。いつの時代も老いた者は若者の感覚についていけないものですよ」
「ん……。その歳で達観しすぎではないか?」
「そうでなければならないんです。何も知らない子供のままでは何をしでかすかわかりません。姉のように……」
そこだけは当時のことを思い出して声のトーンが意識せずに下がってしまう。
「お姉……さん?」
「ええ、ちょっと真面目すぎて、頑固者で……、今では天然で、直情型でおっちょこちょいの愛すべき姉です」
私は今の姉の姿を思い出しながらニコッと微笑む。
「そんな姉も自分の生まれた意味を知りました。だから、私は同じような過ちを弟妹たちが犯さないよう……、私たちが生まれた理由を知らなければならないのです」
本を手に取り、私は椅子から降りて立ち上がる。
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