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「いや、笑いたくなる気持ちもわかるが、その……笑わんでくれ」
「今、流行りのキラキラネームを先取りしていたようですね」
「そう言わんでくれ。あ、いや、私の名前はどうでもいい。君の名前は?」
「私の名前は“知世”です。世界を知ると書いて“ともよ”です」
私の名前を聞いたお爺さんは嬉しそうに笑顔を浮かべて私の名前を呼ぶ。
「そうか、知世ちゃん。私は待ってるから。いつでもここで待ってるから。いつでもリベンジに来なさい」
そう必死に私を繋ぎ止めようとする優しいお爺さん、いえ、葛城さんにお礼を込めて頭を深々と下げる。
「はい。それでは私が実力で勝つまで再戦を申し込ませていただきます」
そう言って葛城さんの嬉しそうな顔を見てから私はカウンターに向かい、本を借りる。
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