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見慣れたはずの風景をまるで知らない街を歩くかのように歩き続ける。
いつも通学時に使っている歩道を歩きながら、ペットボトルのお茶に口を付ける。
「暑い日には熱いお茶……ですが、こういう日に冷たいお茶を飲める贅沢も中々いいものですね」
私が目指しているのは街の図書館。
そこは“県立”と名のつく図書館で、古めかしくかつとても大きな建物。
蔵書量も県内一を誇っている。
「ようやく到着ですぅ」
長い道のりを歩いてきた私は冷房の効いている図書館に着くなり、肩の荷を下ろすかのように上半身を前に倒す。
そして、すぐにビシッと背筋を正して歩き出す。
「さてさて、今日は何を読むと致しましょうか?」
人の少ない午前中。
図書館の中にいる人といえば、老人が大半、後は数少ない若者がいるが皆が皆ノートを広げて何かを書いている。
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