左から三番目の壺

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そう言って、男性は、今度は初めて優しそうな笑顔を見せてくれました。 でも、一瞬だけ。すぐに感情の読み取れない笑顔に戻りました。 「あなたは、いつもここにいるの? ここに来ればまた会えますか?」 男性は、ニィっと口角を上げて笑顔を作ると、 「あなたの魂が、また壺を呼んだ時、またお会い出来ましょう。 それでは、もうそろそろ別の方の壺と入れ替わってしまいますので。 本日は、ご来店誠にありがとうございました。 あなた様のお幸せを、心よりお祈り申し上げます。 では…」 「待って!!あなたの名前は? 名前を教えてください!!」 「…龍心(りゅうしん)…と申します。 では…」 男性は、いえ、龍心さんは、うっすらとした笑顔でお辞儀をしてくれた。 次の瞬間、視界がグルンと回ったかと思ったら、 私は、ぼんやり薄暗い道の真ん中に立っていた。 先程の映画のセットのような、その奇妙な店はどこにもなかった。 「龍心さん…」 私はボソッとつぶやいた。 でも、その店はどこにもなかった。
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