左から三番目の壺

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次の瞬間、目にしたのは先ほどの部屋ではなかった。 少し幅の広い板が敷き詰められている板の間。 御簾のようなものが掛けられ、その向こうに誰かがいるのが御簾越しに見えた。 (え?え?ここどこ?さっきの男性は??) 声を出すなって言われたけど、 ビックリし過ぎて声なんか出せる状況じゃない。 きっと、今、私の眼はまん丸に見開いているに違いない! すると、女性の声が聞こえてきた。 『姫様が一番でございますよ! 皆、そう申しております。 どうぞ、ご安心下さいませ。』 『皆とは誰じゃ!!そんな気休めなど聞きとうないわ!!』 ガチャーン!! 『姫様!!』 大きな物音は、何かを投げつけたらしい。 話を聞く限りでは、姫様は一番じゃない事が気に入らないんだな。 ま、姫様なんて、わがままそうだし、そんなもんかもね。 私は、自分の置かれた状況を忘れて、 姫様たちの会話に聞き入っていた。 どうも、向こうからは御簾のおかげで私の姿には気付いてないみたいだし。 『あの女が現れてからというもの、 わらわの立場が薄れてしまっておる。 一番美しいのは、あの女ではない!わらわが一番なのじゃ!!』 姫様は、自分よりキレイな女の人に嫉妬してるようだ。 姫様、わがまま…仕方ないのに。 キレイなもんはキレイなんだから。 人の心までコントロールは出来ないのに…
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