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次の瞬間、目にしたのは先ほどの部屋ではなかった。
少し幅の広い板が敷き詰められている板の間。
御簾のようなものが掛けられ、その向こうに誰かがいるのが御簾越しに見えた。
(え?え?ここどこ?さっきの男性は??)
声を出すなって言われたけど、
ビックリし過ぎて声なんか出せる状況じゃない。
きっと、今、私の眼はまん丸に見開いているに違いない!
すると、女性の声が聞こえてきた。
『姫様が一番でございますよ!
皆、そう申しております。
どうぞ、ご安心下さいませ。』
『皆とは誰じゃ!!そんな気休めなど聞きとうないわ!!』
ガチャーン!!
『姫様!!』
大きな物音は、何かを投げつけたらしい。
話を聞く限りでは、姫様は一番じゃない事が気に入らないんだな。
ま、姫様なんて、わがままそうだし、そんなもんかもね。
私は、自分の置かれた状況を忘れて、
姫様たちの会話に聞き入っていた。
どうも、向こうからは御簾のおかげで私の姿には気付いてないみたいだし。
『あの女が現れてからというもの、
わらわの立場が薄れてしまっておる。
一番美しいのは、あの女ではない!わらわが一番なのじゃ!!』
姫様は、自分よりキレイな女の人に嫉妬してるようだ。
姫様、わがまま…仕方ないのに。
キレイなもんはキレイなんだから。
人の心までコントロールは出来ないのに…
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