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「あ、あなたは!!」
「し~っ!!」
私の腕を引っ張ったその人は、
人差し指を立てて唇に当て、うっすらと笑顔を浮かべていた。
そう、何の感情も読み取れない、その笑顔で。
「戻りますよ!」
そう言うと、また視界がグルンと回った。
次に居た場所は、あの壺の並んだあたたかい明かりの灯った部屋だった。
私がさっき蓋を開けた左から三番目の壺は、
ちゃんと蓋が閉じられていた。
「危なかったですね。
もう少しであなたは約束を破ってしまうところでした。
本当は、もう少し先まで見ていて欲しかったのですが仕方ありません。
これ以上は、あなたの人生を変えてしまう。」
「ねぇ!あの姫様、あの後どうしたの?
次の人にも毒を盛ったの??」
「…はい。あの姫様は、ご覧になったように、
次々と美しいと噂される女人に毒を盛り続けました…。」
「…。」
私は言葉が出なかった。
どうして…?そんな事をして一番って言われても、
そんなの何も嬉しくない。
そんなんじゃ、ずっと、誰か美しい人が現れる事を恐れて、
自分より美しい人を消すために、自分の人生を費やしてしまうのではないだろうか。
そんな事を続けて、姫様の人生は幸せだったんだろうか。
「あの…姫様、それで満足だったんでしょうか?」
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