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少し早いせいか、人通りも少ないし、比較的気温が低く、清々しい。
与は、昨日の事は忘れるんだと自分に言い聞かせて、電車に乗り込んだ。
ここまでくる道のりで、そんなに人はいなかったのに、車内は思ったよりも人が多かった。
席に座ることはできなかったが、空間は割と広く、扉に身を寄せて、細長い窓から外を、見るともなしに見ていた。
――あと一か月位すれば夏休みだから。
とりあえず、そこまで頑張れば、事態は収束するだろうと与は思った。
電車を降り、暫く歩くと、昨日多々羅と立ち寄ったコンビニが見えてくる。
――耀君にはちゃんと昨日言った。多々羅君にもちゃんと言わないと。
もう、必要最低限話しかけないでくださいって。
けれど、多々羅はどこか強引で、与の言う事をちゃんと聞いてくれるか、甚だ不安だった。
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