一片

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別に、特段仲が良いという訳でもない。 なんならクラス替えしてからまだ3ヶ月しか経っていない。 一対一でした会話なんてものも、数える程度。 昨年の絡みとかも皆無だった。 噂だけは知っていたけれど。 遠くから見つけることはあったけれど。 それは、ただ、単に目立つから。 それだけ。 知代なんかは、目の保養なんて言うけれど、与には意味が分からない。 耀の事等、なんとも思っていない。 むしろ、どちらかと言えば、いや言わなくとも、関わりたくない存在だ。 平穏無事なスクールライフ。そして卒業。 それが、現在の与の何よりの願いだ。 「うわー、今日も臭い。」 与と知代が教室に入ると、女子達が色めき立っている。 「毎日、すごいね、皆。」 耀が登校する前、同じクラスの女子は、ほぼ教室に居て、メイクだの香水だのを纏う。 そのお陰で、匂いに敏感な与は迷惑千万。 人工的な匂いで、頭痛と吐き気が襲ってくる為、ふらふらしながら、与は自分の席に倒れこんだ。 4月からの3ヶ月、毎日の出来事だ。 それで、与は教室では大体マスクを着用していた。 「かわいい、なんて軽々しく言うから、女共が調子乗って毎日臭くなるのよ。」 頭を抱える与と、まぁまぁと宥める知代。 そこへ耀が入ってくるとー 「あ、曜くん、おはよぅー!」 甘くて高い複数の声が、それを迎えるのだ。 このぶりっぶりな、カワイイ(?)声を聞く度に、自分には絶対出来ない、何かが出来なくてこんなに良かったと思うことは後にも先にもなさそうだと、与は思うのだった。
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