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ーーーハンカチ挟むか……
勝手に湿布は貰えないよなぁ(ついでにまーやん先生に、少しだけ弱音を吐きたくもあったのに)と、与は肩を落としつつ、保健室の前を通り過ぎようとした。
カララ。戸が開いたような音がしたのは同時で。
「わ」
「え」
軽い衝撃を受けたのも、同時。
「……ったぁ…」
真横からきたダメージは小さいものの、例の痣のある場所にヒットし、思わず与はその場にうずくまる。
「ごめんなさい!痛かったですよね?!本当にごめんなさい!僕が突然出てきたせいで……」
「あ、、ち、、違うの……大丈夫だから……」
痛みに顔をしかめつつも、相手に心配かけまいと、精一杯平常心を装って言葉を発する。
「保健室、倉田先生はまだきてませんけど、開いてますから、手当てしましょう!立ち上がれますか?」
「あ、、ほ、本当にもう大丈夫だから……」
漸く顔を上げると、下学年だろうか。華奢で色白の、黒目がちな男の子が、捨てられた子犬のようにしょんぼりとしてこちらを見ていた。垂れた耳まで見えそうなくらいだ。
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