三片

7/16
前へ
/89ページ
次へ
ーーーハンカチ挟むか…… 勝手に湿布は貰えないよなぁ(ついでにまーやん先生に、少しだけ弱音を吐きたくもあったのに)と、与は肩を落としつつ、保健室の前を通り過ぎようとした。 カララ。戸が開いたような音がしたのは同時で。 「わ」 「え」 軽い衝撃を受けたのも、同時。 「……ったぁ…」 真横からきたダメージは小さいものの、例の痣のある場所にヒットし、思わず与はその場にうずくまる。 「ごめんなさい!痛かったですよね?!本当にごめんなさい!僕が突然出てきたせいで……」 「あ、、ち、、違うの……大丈夫だから……」 痛みに顔をしかめつつも、相手に心配かけまいと、精一杯平常心を装って言葉を発する。 「保健室、倉田先生はまだきてませんけど、開いてますから、手当てしましょう!立ち上がれますか?」 「あ、、ほ、本当にもう大丈夫だから……」 漸く顔を上げると、下学年だろうか。華奢で色白の、黒目がちな男の子が、捨てられた子犬のようにしょんぼりとしてこちらを見ていた。垂れた耳まで見えそうなくらいだ。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加