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「でも……僕のせいで……」
しゅーんと項垂れている彼が、そのまま立ち去るのも何故かかわいそうに思えて。
「あ、じゃあ、湿布だけ……もらおうかな?」
と言うと。
「っ!!はいっ!!」
子犬の彼は嬉しそうに顔を上げて尻尾をパタパタと振った。
そもそも当初の目的なのだし、保健室が開いているなら、やはりハンカチより湿布を挟みたい。
「どうぞ、ここに座っててください!」
言われるがままに、灰色の丸椅子に座らされ、慣れた様子で冷蔵庫から湿布を取り出す彼を見て、一体何者なのだろう?と与は不思議に思う。
大体こんな朝早くに、保健室で何をしていたのだろう?と。
「さ!痛むところはどこですか?!」
「え?」
「出してください!」
透明のフィルムをぺりぺりと剥がして、貼る準備万端の彼は、さぁさぁと、与に怪我した部位を見せるよう促す。
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