三片

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「その、怪我って……」 彼が何か言いかけているが、与は湿布が手にくっつかないように、慎重に患部に貼り付ける。 ーーよし、と。 無事にきれいに貼り付けることができて、与は満足しながらスカートのファスナーを上げた。 「昨日の、ですか?」 ーーえ? ホックに手をかけた所で、与の思考が止まる。 「実は、僕、見ちゃったんです。というか、ずっと見てました。」 ーーどういうこと? 与は何も言えずに、固まったまま、彼の次の言葉を待つ。
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