三片

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「ーーじゃあなんで……燿先輩が一方的にちょっかい出してくるんですか?」 子犬少年の質問に、与は頷くことはしないまま。 「こっちは、良い迷惑。」 剥がしたビニールをゴミ箱に捨てた。 「じゃ、私行くね。湿布ありがとう。」 そのまま、彼の脇をすり抜けて保健室を出て行こうとした与の腕が、捕まれる。 「え、何……」 「僕が、守ってあげます。」 サラサラの薄茶色の前髪の間から、見える大きな目は、今までと少し印象が違う。 「何、言ってるの?私、あなたの名前も知らないし……」 「平證(タイラ アカシ)」 動揺する与に、被せるように子犬は名乗った。 「1年F組、平證」 もう一度繰り返してーー 「僕があなたを守りますよ。」 ふわりと笑った。
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