三片

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一瞬の沈黙の後。 「っはは!」 与は思わず吹き出してしまった。 「何言ってんの。どうやって守るっていうのよ。同じクラスでも同じ学年でもないのに。」 やんわりと證の手を外して。 「でもま、気持ちは嬉しい。ありがとね。殆ど保健室にはこないけど、また集会とかでは会えるかもね。ばいばい。」 小さく手を振り、背中を向け歩き出す。 しかし。 「——またね、蔀先輩。」 一瞬そう聞こえた気がして、与は振り返った。 もうそこに、仔犬のような彼はいなくなっていて、風だけが、ひゅーと廊下をぬけていく。 「まさか、ね。」 空耳だったかと、再び前に向き直って教室に向かう。 ――私名前教えてないもんね?にしてもかわいい子だったなぁ。あれモテるだろうなぁ。 ここ数日与を悩ませる男子達とは似ても似つかない證に、心癒されながら、部活動の生徒達が登校してくる音に気付き、なんとなく足を速めた。
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