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教室に向かうにつれて、当然のごとく与の足取りは重くなる。
でも耀には昨日はっきりと言った訳だし、意外と大丈夫かもしれない。
けれど、メンタルが強い訳ではない与は、どうしても教室の手前の階段から前に進めなくなった。
このままではだめだ、と頬を掌でパチパチと叩いて気合を入れてみる。
「何してんの?」
そこに気怠そうな声がして、与の動きが止まる。
「昨日、いなかったけど。」
足音がして、声の主が与の前まで来て、視線を捉えた。
「朝は、いたのに、なんで?」
「た、多々羅くん……」
彼が首を傾げたのと一緒に、青味がかった鴉のような髪も流れる。
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