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その奇妙な店は、戦場のど真ん中にあった。
店の扉の前には長蛇の列。
店の扉が開かれると、並んでいる者達が店の中に歩を進める。
300人程の者が店に入ると、扉が閉じられた。
俺はその長蛇の列の中にいる。
列に並んでいる者達の半分は、敵兵だった者達。
並んでいる者達に共通しているのは、全員戦死した死者である事。
再び扉が開かれる。
俺は歩を進め店の中に入った。
入って直ぐの所に階段があって、俺は階段を下る。
地階は学校の体育館位の広さの部屋。
一段高くなっている壇の上に、黒い服の人物が立っていて、俺達がその前に整列すると話しを始めた。
「あなた方は2つの道を選ぶ事ができます」
黒い服の人物は、壇の右側を右腕で指し示しながら話す。
「1つは。
此方の入り口を通り、三途の川を渡り、天国や地獄に行く道。
もう1つの道は」
続いて左側を左腕で指し示しながら、話しを続けた。
「新しい肉体を与えられ、別世界で兵士となる道。
どちらでもお好きな方へお進みください」
俺の斜め前にいた敵兵だった男が、手を上げ質問する。
「新しい肉体を与えられるって事は、生き返る事が出来るのか?」
「その通り。
但し、兵士として戦場に立って頂く事になります」
姿は見えないが、前の方へいる奴が別な質問を行う。
「兵士って事は、給料は貰えるのか?」
「当然です。
新しい肉体を与えたからと言って、無給で働かせるような事はしません。
他に質問がある方はいらしゃいますか?
…………………………
いらしゃらないようですね。
では、御自身で選択して、どちらかの入り口をお選びください」
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