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隣にいた戦友が声をかけて来た。
「よう、お前どっちに行くんだ?」
「俺は左に行く、生き返りたいからな」
「そうか…………。
俺はもう兵隊には戻りたく無い。それに人殺しも殺されるのも嫌だ、だから右に行くよ」
「分かった、達者でな」
「ああ、お前もな」
俺と戦友は互いに抱き合い、左右に分かれた。
右と左に行く者の数はだいたい3対1で右に行く者の方が多い、生き返るのは魅力だが、兵隊に戻りたくは無いのだろう。
で、俺は今、アンドロメダ銀河辺境部にある地球型惑星で、アンドロメダ銀河帝国の兵士達と、陣取り合戦を行っている。
陣取り合戦を行いながら、俺はあの時、右の入り口を選択しなかった事を、悔やんでいた。
理由は。
新しい肉体を貰えて、毎月の給料は今までの数十倍の上、衣食住は無料、最初はもう万々歳だった。
でも、万々歳だったのは最初だけ。
俺達左の入り口を通った者は、此方の世界で死んでも、天国にも地獄にも行けない事が分かるまでだった。
あの世に行く理から外れた俺達は、戦死しても直ぐに新しい肉体が与えられ、暫しの休息の後、戦場に送り返される。
戦場に戻る事を拒んだ者は、肉体を取り上げられ、浮遊霊としてこの世を彷徨うだけの、存在になってしまう。
「俺達は未来永劫戦い続けなくてはならないのか?」
以前、黒服の人物、俺が生まれた時代から、数十万世紀後の地球人に尋ねた事があった。
それに対する返事は。
「この世界の全てを、私達地球人が手にする事ができたら、生きていて良かったと思えるだけの休暇と、永遠に使用出来る肉体が与えられます。
ですから。
全ての戦争に勝利するまで、敵を葬り続けてください」
だった。
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