勿論、嘘。

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帰り道、アミからのメッセージ。 ____________________ アジ大好きっ、ぁたし本気だょ?今彼氏とも別れたんだよー! ねぇ…マコトって呼んでいい?彼女の特権でしょ? 今満月だぁ☆アジが今見上げてくれたら離れていても繋がってる感じするね♪ じゃあアジの初カノとしてこれからも頑張りまぁ~す☆ _________________________________________ ふと月を見上げた。綺麗な満月。俺は今日忘れかけていたあの感情を思い出した。 空を飛ぶ姿 かっこよくて、息を飲むほど綺麗で… ゴール前で立ち尽くすヨウジの後ろ姿 こっちを振り向いて 「お前も飛ぶ?」 飛びたいよ でも俺には無理だよ だから見てるだけでいい だから見させてくれよ… …ふざけんなよ。俺には無理。お前にしか無理。 お前は本物だよ 本物の風だよ… 俺は昼に感じたイラつきを思い出し、足下にあった空き缶を思いっきり蹴っ飛ばした。 住宅地に響く空き缶が跳ね返る音 その後すぐに、何もなかったように、住宅地には静けさが広がっていく。 理由なんかどうだっていい。今更ヨウジを思い出すだけでイライラした。 アミにメールを返す。 ____________________ じゃあ俺責任とんないとな。 わりぃ。俺自分の名前嫌いだからアジで。 満月見てるよ。でも俺満月嫌い。三日月の方が好き。 ____________________ 勿論、全部嘘。
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