勿論、嘘。

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授業中、目を覚ました俺のワイシャツは汗でびしょ濡れになっていた。 気づけば授業も残り5分。俺は白紙のノートをさっさと片して窓の外を眺める。 もう7月、夏の匂いがする。空は青く、高く飛べそうな気がした。 チャイムが鳴るのと同時に、俺はすぐ鞄を持って廊下へ出た。おい、まだ授業は終わってないぞ!というオノセンの怒鳴り声にガンを飛ばしてね。 「おーい。アジ待てよー!」 振り返ると、ヒロシが駆け寄ってきた。礼が終わった後すぐ追いかけてきたようだ。 「はぁはぁ、お前かっちょ良すぎ。なんかあったん?」 「別に…で、ヒロシこそ、なんか用?」 俺は、ヒロシが追いかけてきた理由をなんとなくわかっていた。 「そうそう!!今日の合コン、マジ来てください!!圭一が彼女にバレたみたいでさ、人数たんねぇの!!」 日本語が下手くそなヒロシは胸の前で手をあわせて必死そうだ。 「あー…」 ウチの学校は男子校で、ここら辺じゃそこそこ人気のある学校。高校のネームバリューだけで女にモテる。 だから合コン=お持ち帰りは当たり前。色んなグループで合コンは盛んだった。 勿論、俺らのグループも合コンは日常茶飯事。毎日のように誰かが合コン組んで、その度に色んな女の子と遊んでいた。 別に俺達の誰も恋愛をしたいわけじゃない。 女にモテるだとか、いい女を抱いたとか、それが俺達にとっての優劣を決めるステータスだっただけ。 今日の俺はあんまその話に乗り気じゃなかった。けれどヒロシがあまりにも必死だったから仕方なくオッケーしてやった。 …駅前のラーメン屋で大盛りを奢るっつう取り引きはあったけど。
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