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「あ、あの」
「次倒れたら辞めような、って駿とも話し合ったんです。こいつ、音楽のためなら体調も省みず無茶をするので、今度部活中に体調を悪くしたら部を辞めようって」
「だから先生、先生のせいじゃないですから」
父親の言葉を継いだのは、駿自身だった。
「七尾くん」
「駿、目が覚めたのね」
母親が胸を撫でる。それを見て駿が笑った。
「もう、母さんこそ無理してるじゃないか。僕なら大丈夫」
その笑みを、ふっと消して駿は両親に体を向けた。
「父さん、母さん、ごめんだけど、席を外してくれないかな。先生と話したいことがあるんだ」
「……わかった」
「なにかあったら呼ぶのよ」
両親はそう言い、守山に深く礼をして、病室を出た。
駿は二つの足音が十分遠ざかるのを確認してから、こう切り出した。
「先生、部の方はどうです? 金賞、取れそうですか」
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