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覚悟が決まっているのを察したのか、隆行さんは静かに語り始めた。
「君には話をしておこう。
私も藍も、ゲームに参加したことがあるんだ。
君達と同じく卒業前で、場所もあの学校だったよ。
だから、君さえ良ければ、私も行こう。」
それは衝撃的だった。
いや、知っている時点でそうなのだと気付くべきだった。
あれほどの不幸が、何度も起こっているという思考がなかった。
でも、だからこそ。
「でも、だったら、余計無理ですよ。
だって、もうとっくに普通の生活に戻っているのに、今からあの地獄に戻るんですか。
俺はまだ、あの地獄から完全に抜け出せていないから、いいですよ。
でも・・」
「君は勘違いしているよ。
私達2人とも、普通に戻ったつもりは無いよ。
自らの罪は、今も消えない。
それでも、背負って生きてきているよ。
・・だからこそ君達にはこんな風に生きてもらいたくはないんだよ。」
隆行さんの表情に寒気を覚える。
・・そうだったのか。
この人達は普通に戻らなかった。
その分、辛い人生を送ってきた。
だから、この人達は俺達に普通に戻ってもらおうとしていたんだ。
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