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「息子のことを覚えていてくれるのは嬉しいよ。
だが、そのせいで君はまだ、あの地獄から抜け出せずにいる。
だからこそ、この真実を知りたい。
そうしなければ、普通に戻りきれないから。」
多分、俺はそうだったんだ。
ただ、俺がずっとあの地獄から抜け出せずにいたのは、あいつのことを思い出していたから。
生きているはずの、あいつのことを。
なのに、ここにいない、あいつのことを。
だから、俺はこのゲームに参加しようと考えていたんだろう。
どんな形であれ、あいつのことに決着を付けたかったのだろう。
きっと隆行さんは、俺がこの手紙を見せた時点で気付いていたんだろうな。
俺は迷っていた気がしていたけど、多分参加するつもりだったんだと思う。
相談する時には、本人の中で1つの結論を持っているものだって、朝比奈に言われたことがあった気がするな。
「さて、この件は私達2人の秘密でいいのだろう?
君が他の子ではなく、私を頼ってきたのは、自分1人だけ参加するつもりだったから。
違うかい?」
はは、当たってるな。
確かに、俺はこの件をあの2人に話すつもりはなかった。
参加するなら、巻き込みたくないと思っていた。
ただ、こんなにも心強い味方ができるとは思ってなかった。
「はい、よろしくお願いします、隆行さん。」
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