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side 宮本茜

「あぁ、すまないね。
　だけど、駄目だよ。
　君達は生を勝ち取ったのだろう？
　現実から逃げてはいけない。」
その言葉に驚く。

この人は・・どこまで知っているのだろう？
あの出来事を・・知っているのだろうか？
ただ、知っているとしか思えない口ぶりだった。

「まさか・・朝比奈はここにいるんですか？」
「いや、残念ながらいないよ。
　行方不明というのは事実だよ。」

その言葉に、私は落ち込んでしまった。
多分、本町君もだと思う。
彼を頼って来た。
彼がいれば、どうにかしてくれる。
そんな気がしていた。

「・・行方不明という事実に納得しているのですか？」
そんな時、冷静な声が質問した。
「暮崎さん・・だったかな。
　納得しているわけではないよ。
　ただ、受け入れるしかないということを知っているだけだよ。
　それは私達には・・いや、本人にすらどうしようもないことだ。
　死とはそういうものだろう。
　ただ、見つかっていない。
　それだけのことだよ。」
隆行さんはその言葉に答えた。

その人間性に・・私は恐ろしくなった。
悲しい表情をしているわけでもない。
ただ、死を受け入れている。

彼について少し分かった気もした。
この人は、現実を見ている。
あのゲームでの、朝比奈君のように。