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俺が考えていると、藍さんは俺たちに聞いてきた。
「だからこそ、私が聞いておきたいことは1つだけです。
あの子は、最後まで戦いましたか?」
その言葉にゾッとする。
鳥肌が立ってしまうほどに。
さっきまでとは雰囲気が違う。
優しそうな印象だった。
けど、今は冷たい目をしていた。
答え方を間違えれば、そのまま殺されてしまうのではないか。
そう思った。
「藍、怖がってる。」
「あら、ごめんなさい。」
その声に、さっきまでの雰囲気に戻った。
朝比奈君もそういうところがあったが、この人はそれ以上だった。
「・・朝比奈みたいだな。」
本町君も同じことを思ったみたいだ。
この2人は、確かに朝比奈君の両親だ。
そう思った。
「確かに、あの子は私達の息子だよ。
だからこそ、君達に聞いているのだよ。
あの子は最後まで戦ったかと。」
「・・彼が戦ったからこそ、私は・・私達はここにいます。」
答えたのは暮崎さんだった。
その答えに驚く。
暮崎さんや本町君は、自分の力で生き残ったのだと思っていた。
この2人はそれだけの力があるのを知っている。
実際に見てきたわけではないけれど、この2人のすごさを知っている。
けれど、私達と言った。
彼はこの2人も守っていたんだ。
それは初めて聞く事実だった。
「・・そうか。」
そう言って、隆行さんは息を吐き。
そのまま目を閉じた。
それがどこか、嬉しそうに見えて、私には少し怖かった。
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