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これは大阪府の私立高校に通っている赤城の話だ。
親友と話しているうちに、『人間って怖い』という話になっていった。
なぜその話になったのかは覚えていない。
最初は数学の話をしていた筈だ。
赤城は自分から話すような人間ではないので、ただ親友の話を聞いているだけだった。
親友が、『聞いてる?』と声をかけてきた。
赤城は聞いていなかったが、『聞いてる聞いてる!』と元気よく返した。
ただ、親友の『聞いてる?』は、話の中の会話であって、決して赤城に話しかけたのではない。
話を聞いていなかった赤城は自分に質問されたと思って返事をしてしまったのだ。
親友はびっくりした。急に『聞いてる!聞いてる!』といわれたらそりゃびっくりする。
そして、親友は彼の元を去っていった。
赤城はまた一人になった。
そもそも最初から一人だったのだ。
赤城には友達も親友もいない。
さっきの親友も呼ばれていた人は赤城が勝手に思っていたことだった。
話していたのは親友と呼ばれていた人の友達だった。
赤城はその会話を盗み聞きしていて、自分に話しかけられていると脳内で変換したのだ。
今まで話さなかった人間が急に元気よく『聞いてる!聞いてる!』と言ったら、親友と呼ばれていた人も立ち去るに決まっている。
人間とは怖い。
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