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「もう喫茶店の必要ないっスよね!?」
興奮しまくりの先輩が手に負えなくなってきたあたりで、目の前の空席にいきなりブラックの仲間らしい全身スーツが二人現れた。おそらく時空なんちゃらの力、あるいはここまで含めての合体なのかもしれない。と、いうことは。
「完成! グレイトキッサーロボ!!」
合体ロボが完成したようである。モニターで確認すると、コックピットを兼ねるこの店は胴体部分、腹の辺りを担当しているようだ。頭部を含む両肩両腕が黄色、下半身が白っぽい色をしている。不思議なことにそれほど不格好には感じられない。中が喫茶店であることを除いて。
「すると、この人たちが他店舗の?」
「その通りだ。端に座った白いのがマスターシュガー、真ん中の黄色がマスターオーレ」
「いやちょっと。砂糖が白はいいとして、カフェオレが黄色は納得いかない」
「さすがにヒーローが茶色は地味だろう、ドングリじゃあるまいし」
そんなのも現実にいた気がするけど、とは口が裂けても言えない。彼らの機嫌を損ねて戦いを放棄されたら困りものだ。
改めて怪物と向き合うグレイトキッサーロボ。こうして見ると怪物も、そしてロボもかなり大きい。果たして三人のマスターはどう戦うのか――。
「先手必勝! キッサ―ソード!!」
「いきなり喫茶関係ない!」
黄色の人、マスターオーレの謎操作とともに出現したのは巨大な剣。グレイトキッサーロボは両手を振りかぶると、その間合いに巨大怪物をとらえた。
『グレイト・アターック!!!』
三人の気勢がぴたりと一致し、剣が一気に振り下ろされる。剣というより鎚がぶつかったかのような鈍い音と振動がわすかに内部まで響いた。
切り裂くことこそできなかったが、巨大怪物はたまらず後ずさる。たぶん効いているのだろう。
「逃がさない、コーヒーマシンガン!!」
今度はマスターシュガーが声を上げ、片手が剣から離れて怪物の方へ突き出される。と、その指先が砲身となり、そこから多量の銃撃が浴びせられた。だが――あれは『コーヒーマシンガン』。
「あの弾、まさかコーヒー豆じゃないですよね」
だとしたら、多分何万発撃っても大して効かない。喫茶関係ないソードでぶん殴った方がマシだ。
「案ずることはない。弾丸のコーヒー豆は正義の科学で表面を金属コーティングしていて……」
「じゃあその金属を弾丸に加工しろッッ!!」
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