たたかう喫茶店

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 なおもぶつけられるコーヒー豆。しかしその時、怪物が吼えた。銃撃をものともせずに一気に距離を詰めてくる。豆が余程ウザかったに違いない。 「そんな! コーヒーが効かない!?」  当たり前だ!!  つっこみより早く、怪物の体当たりがロボを大きく吹き飛ばす。体勢を崩すグレイトキッサーロボ。僕たちに大きな衝撃がないのだけは救いだ。 「仕方がない、先日開発した新兵器を使うか」  形勢は不利かと思われたとき、ブラックが余裕をのぞかせた。 「新兵器?」 「その開発のため、資材を海外から運び込んだ自信作さ――まあ、見ているといい!」  ロボを立ち上がらせ、今度は俺の番とばかりにブラックが叫ぶ。 「アルティメット・ギャラクティカボンバー!!」  するとかけ声とともにロボの肩に長めの砲身が現れ、そこから何やら小さな長方形の物体をこれもまた無数に射出する。だがさすがはボンバー、長方形の物体は怪物に直撃すると同時に爆発を巻き起こした。撃ち出された物体のぶんだけ、次々と爆発が起こる。マメよりは効くはずだ。  ところであの長方形の物体、いくらなんでも小さすぎるような。  気になった僕はモニターに顔を近づけ、よくよくその物体を観察した。全長数十メートルのロボが撃つにしてはあきらかに小さい。遠目からでは米粒のようにしか、なんとなく長方形っぽいなということしかわからない。  それでも僕はモニターの拡大機能なんかを駆使してその正体を探り、そのうちに妙な既視感にとらわれた。  なんか見たことあるぞ、この長方形。  だいたい手のひらに乗るか、手のひらよりもう一回り大きいくらいのサイズで、どうやら裏と表がある。表と思われる側は光沢があってつるっとした感じの……。 「スマホ? このロボ、スマホ出してる?」  慌てて自分のを取り出して見比べてみる。さすがに同じ機種ではなさそうだが、怪物に当たってバンバン爆発しているのはそう、スマホだ。 「おお、気付いたか! 何と言ったか、最近話題になったやつがあったろう、これぞアレ!!」  ぶっ。  僕は飲みかけのコーヒーを噴き出した。 「世界各地で爆発事故が相次いで、リコール後も事態が収まらずに結局生産中止になったアレか!?」 「そう! 我々はアレを極秘裏に入手し、正義の科学でより爆発しやすく、さらに爆発力を高める特殊な電磁波を……」 「科学の方向性を間違えてるだろおおぉぉ!!?」
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