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理玖は、毛糸のような赤い糸で欲望の根元をキュッと縛る。
「出したい・・・縛らないで・・・」
「ダメ、精子の無駄遣い反対!」
弟のバカな冗談に付き合う余裕もない。後ろを掻き混ぜられている刺激と口腔内を貪られる快楽で、桂斗はもう限界点を超えていた。
理玖はいったんベッドを降りて、膝に残っていたズボンや下着、肌蹴たYシャツを脱ぎ捨てた。
一糸纏わぬ背中に現れた一羽の鳳凰・・・極彩色の雄々しい姿が眼前に晒される。
佐竹の朱雀とはまるで違う。彼のは火の鳥だけに、真っ赤な鳥だった。炎をまき散らす灼熱の鳥。
理玖の背中の聖獣は、黄色や緑、赤・・・・様々な色彩が鮮やかに羽を広げている。
まだ二十歳だから細身の身体だが、背筋も胸筋も見事なまでに美しい造形。
その体に刻まれた大きな伝説の鳥は、あくまで豪華で優雅に舞っている。
「綺麗だ」
「披露宴では脱いで披露するんだよね」
「誰にも見せたくない」
思わず口走った言葉に、彼は微笑んだ。
「これは、ここぞという時に見せる『脅しの道具』だけど、極道者としての覚悟を見せるという意味もあるんでしょ?滅多に使わないから、アンタだけが毎日眺めてやってよ」
「毎日・・・・この美しいモノを見ていいのか?」
「その代り、アンタの龍が泳ぐところも毎日見せてくれるよね」
「ああ」
「じゃあ、それでチャラだ」
拘束されている兄にまた甘い口づけが降ってくる。
佐竹の身代わりでもなく、この若者を愛している・・・・桂斗の目から一筋、光るものが零れた。
「極道の時のカッコいいアンタも、二人きりの時のエロいアンタも大好きだよ。愛してる」
いつもだったら軽いあいさつ程度と一蹴するが、今夜の理玖の言葉は素直に浸みる。
「俺を・・・・めちゃくちゃに・・・・していい・・・・から・・・」
「俺がもう骨抜きなんだけどね・・・・桂斗も骨抜きにするから」
愛するものを失って絶望していたのに、また他の人間を愛している。
まったくなんて弱い人間なんだろう。
「すっかり解れたから、俺をナカにいれて」
「ああ、来いよ。欲しかったんだ」
こちらを見る目が限りなく優しい。すべてのオモチャを取り出して、自分のモノを宛がった。
少しずつ焦らすようにゆっくりと・・・温かい粘膜が絡みつくように迎え入れてくれた。
「ア・・・あぁぁ・・・・・」
息を吐きながら大きな異物を飲み込んでいく。兄の膝を抱え込んで自分の体重を乗せながら、彼の領域を犯していくのだ。
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