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頭の中には、会長に見せられた写真を思い出していた。
雪兎が女の着物を纏い、あられもない姿で映っている、会長がプロのカメラマンを呼んで、AV撮影の様に撮ったと写真集だ。
ある日、社長室に行くと、窓辺のデスクでひとりニヤニヤしていたので声をかけたのを覚えている。
「何見てるんですか?」
「色っぽいだろ」
「なんですかっ!会長と雪兎さんがヤッてる写真じゃないですか」
「そう、カメラマン呼んで撮らせたんだよね~。この表情・・・グッとくるねぇ」
「可哀想に・・・会長の酔狂な遊びに付き合わされて」
「遊びじゃない。俺たちの愛の記念に撮ったんだ」
美しい緋色の打掛裸の上に羽織り、熱を帯びた中心を嬲られている雪兎の写真・・・・確かに普段の彼とのギャップはすごい。後ろから抱きしめられ肌蹴た着物から白い肌が露わになっている。
頬を染めた顔はすっかり蕩けていて、目は潤んでいる。確かに艶っぽくて、エロい顔だ。
その時の雪兎の表情が忘れられない。
もし、あんな恰好、桂斗がしてくれたら・・・妄想はどんどん加速していく。
「理玖?」
「二人だけならどんな格好をしてもいいよね」
「ヤダ」
ココは真っ赤な顏をして、上目づかいで『い
いよ』の答えが返ってくると思ったのに・・・・思い切り真顔で拒否されてしまった。
「なんでだよぉ~」
「そんなの・・・・俺が着たらおかしいだろ///」
「おかしくない!絶対かわいい!」
すると、横やりが入った。
「お前、女装が似合うじゃないか」
会長が首を突っ込む・・・・この人が関わると帰ってややこしくなる。
「俺を見世物にしようたって、そうはいかないからな。女装だったら速攻脱いでやる」
「褌一丁で出るか」
ニヤニヤしながら桂斗を上から下まで舐めるように見回す。またいやらしい目で見ている。
「ちょっと会長、アンタのいいようにはしないからな」
「あ、そ。つまんね」
会長は、子供の様に拗ねてその場を立ち去った。
彼が去った後、そのまま試着室に移動する。その間、桂斗は黙ったままだった。
先程睦に言われた言葉が彼を傷つけたのは明らかだ。だけど、どう話しかけていいかわからない。
「あの・・・・」
「なんだ」
「むつみの言ってたこと・・・・」
「気にしている」
先に云われてしまった。言葉を選んでいるうちに、こちらの気配に気が付いたのだろう。
「あんな女の言ったことなんて気にすることないって」
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