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渚「…なんでそっぽ向くの?」
あかり「見てくるからでしょ」
渚「見られて困る事してる?」
あかり「してるじゃん、今!」
小声から大声に変わり、ハッと我に返る茅野は母さんと父さんに謝罪して声を抑える。
変わらない赤面のまま僕にトランプを差し出し、机に顔を伏せる茅野はもう何も言わなくなった。
あかり「どうぞ、お客様…」
小さい声に戻った茅野は、「引きなさい」と言わんばかりにズイズイトランプを差し出してくる。
僕は右のトランプに手を添えて、ゆっくりと引いた。
引いたカードはキング。
那波に似た男性が近づいて来ると、テンション上げて祝ってきた。
「おめでとーございまーす!!
大物寿司を獲得しましたーーー!」
「お兄さんに拍手ー」と叫ぶ那波さんに比べ、茅野はうつ向いたまま。
那波に肩を叩かれ、我に返る茅野は笑顔で立ち上がると、「おめでとうございます!」と叫ぶ。
そして一度去ると、『大物寿司の無料』の券を僕に渡してきた。
あかり「以上、磨瀬榛名と…」
「那波でしたー!」
女優と俳優の名前を聞いた周りが一気に悲鳴を上げた。
黄色い歓声を上げる女性や子供。
茅野と那波は周囲の人には近寄らず、バイバイと手を振って去っていった。
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