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その後ろ姿を見送り、顔を戻すと、亜優が猫を抱いたままゆっくりと前屈みに体を折った。
やばい、と思ったのと同時に、丸まった背中の向こうから「ふえーーん」という泣き声が聞こえ始める。
――あーあ……。
俺は腕を組み、顔を伏せて自分の長靴に視線を落とした。
亜優の涙は何度か見たことがあるけれど、こんな風に二人きりの状況で泣かれるのは初めてだ。
正確には二人と一匹――いや、もうそんなことどうでもいいや。
救いを求めるように公園の入り口の方を見たが、俊輔は隣のクラスの奴らと何やら話し込んでいて戻ってくる様子はない。
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