【7】いま、ここで叫ぶ

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学園祭も残り二週間を切った。 少しでも良い思い出を作ろうと、生徒達が忙しく準備をしている。 ぼく達のクラスもワッフルの模擬店作りで盛り上がっていた。 お客さんに出すワッフルの種類はもちろん、食べるスペースの工夫、教室の飾り方。より良い店にしようと意見を出し合って完成を目指している。 仲井さんが担当している看板も、あと少しで出来上がるようだ。 放課後になると女子達と看板を囲んでいる。 ぼくは相変わらず雑用係。 今やっているのは、あらかじめ文字が印刷された画用紙を綺麗に切り取る作業だ。 これがすんげぇめんどい。 ハサミじゃなくて、カッターと定規を使えと言われているのだから。 なんでも、そっちの方が見栄えが良いんだって。ぼくは手先が器用な方じゃないんだけどなぁ。 「ねえねえ中井くん。どっちが可愛いと思う?」 あのデート以来、仲井さんから積極的に声を掛けられるようになった。 ぼくに気を遣ってくれているんだろう。他愛もない話題を振っては笑顔を向けてくれる。 悪い気はしない。 なんたって好きな子から気に掛けてくれているんだからな。 デートでは情けない姿を見せたし、なりゆきで怒鳴ったり、置いて行ったり、と酷いこともしたけど、仲井さんはまったく気にしていなかった。 ぼくが謝ったところで、「また映画に行こうね」と笑うだけ。 ぼくの気持ちのせいで体調を崩したことだって、自分も同じように痛い思いをさせたからお互いさま、で終わった。 贔屓目で見ても、ぼくの方が痛い思いをさせているのに。 「わたし的に、右の下書きの方が可愛いと思うんだ。でも、みんなは左の方がいいって。中井くんはどっちだと思う?」 仲井さんは二枚の下書きをぼくの机に置く。 彼女はメニューの下書きを描いていたようだ。 混雑したら、これをお客さん達に配って、少しでも注文までの流れを良くしようという魂胆だろう。
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