【7】いま、ここで叫ぶ

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「んー? なんだ? なんだ、この変な空気」 ぼくと仲井さんの間に流れる空気を察した柳が、不思議そうに首を傾げる。 誰のせいだと思っているんだよ、誰のせいだと! 「ははーん。分かった。“ナカナカ”コンビは刺激が足りてねぇんだな。そりゃお子ちゃまなスキンシップだし、刺激も足りなくなるわけだ。うっし恋愛マスターの出番だ」 「永久に出番なんてねぇっ、お、おいばか!」 次の瞬間、仲井さんが柳の腕の中にいたものだから、ぼくも彼女も目が点。 なんでこいつ、仲井さんを抱きしめて。 「実はおれも狙っていたんだよね。彼女のことを」 「……や、柳くん。ちょっと放してくれる? こういうの、好きじゃないよ」 性格の悪い柳は、おろおろとし始める仲井さんを面白がっている。 「ヒトのものは欲しくなる性分なんだ。仲井さんはおとなしいけど、こう守りたくなる可愛さがあるし。なにかと気配りも上手くて優しい。まさにおれ好み! ねえ仲井さん、ちょっとおれと付き合ってみない? あいつよりも大切にしてやるから」 「わ、わたしは……えっと、な、中井くんの方が」 「あいつの何がいいの? ほら、お子ちゃまなスキンシップばっかだろ? もっと女子が喜びそうなことを、おれならしてやるって。例えばキスとかな?」 「きぃっ……?!」 何を言っているだとばかりに、仲井さんが大パニックになっている。 女子の憧れだろう? と柳は聞き返し、ぼくの方にニヤッと嫌味ったらしい笑みを浮かべた。 「どうだ中井。今、おれは仲井さんをお前から奪ってやったぞ。悔しいなら奪い返してみ……ふっ、さすが恋愛マスターのおれ。中井に十分な刺激を与えたみたいだ。命の危機を感じるから、これにて解散!」 バッと仲井さんから離れ、一目散に逃げ出す柳を見逃すわけもなく、ぼくはこめかみに太い青筋を立てて怒鳴り声を上げた。 「柳、お前はいつもいつも。今回だけは勘弁なんねーぞ! お望み通り、窓から放り出す!」 「なんだよ。お前達に刺激を与えただけじゃんか! 今回はナカナカの仲を裂く、ライバルの登場を再現してみた。かなり刺激的だったろ? おれって友達思いだな!」 「ちょっかい出したいだけだろうが!」
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