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教室に戻ったぼくは、重いため息を零して席に着く。
こんな形でギターと向き合わないといけなくなるなんてな。
どうやったら、あいつを傷付けないように断れるんだろう。
ぼくが代わりにギタリストを探してくればいいのかな。
ぐるぐると悩んでしまう。
放課後は仲井さんと色塗りしなくちゃいけないのに。
昼休みになると柳から楽譜と、練習のスケジュールを渡された。
まだ返事もしていないのに、自分のギターは音楽準備室に置いているから自由に使ってくれ、とまで教えてくれる。
その際、練習はできる限りの参加で大丈夫だと添えられてしまい、胃が重たくなるような、胸が詰まりそうになるような苦い気持ちを噛みしめた。
やっぱりあの時、柳を傷付ける覚悟で断れば良かったんだ。
曖昧な態度を取るから柳も期待を寄せて、ぼくに楽譜を渡してくる。
他のメンバーにも雰囲気で、事情が伝わっているようだ。
宮本からは「断っても良いから」と、気を遣われた。
困る、そう言われるともっと断りづらくなる。
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