【7】いま、ここで叫ぶ

10/33
前へ
/192ページ
次へ
教室に戻ったぼくは、重いため息を零して席に着く。 こんな形でギターと向き合わないといけなくなるなんてな。 どうやったら、あいつを傷付けないように断れるんだろう。 ぼくが代わりにギタリストを探してくればいいのかな。 ぐるぐると悩んでしまう。 放課後は仲井さんと色塗りしなくちゃいけないのに。 昼休みになると柳から楽譜と、練習のスケジュールを渡された。 まだ返事もしていないのに、自分のギターは音楽準備室に置いているから自由に使ってくれ、とまで教えてくれる。 その際、練習はできる限りの参加で大丈夫だと添えられてしまい、胃が重たくなるような、胸が詰まりそうになるような苦い気持ちを噛みしめた。 やっぱりあの時、柳を傷付ける覚悟で断れば良かったんだ。 曖昧な態度を取るから柳も期待を寄せて、ぼくに楽譜を渡してくる。 他のメンバーにも雰囲気で、事情が伝わっているようだ。 宮本からは「断っても良いから」と、気を遣われた。 困る、そう言われるともっと断りづらくなる。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加