【7】いま、ここで叫ぶ

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口にして気付く、ぼくの本当の気持ち。 ああ、そうか、逃げてばっかりだったけど、本当のぼくはこんなにもギターを想っていたのか。 彼女の両手に右手を重ねた後、ぎゅっと力を込めて握るとぼくは席を立った。 仲井さんから手を引き、視聴覚室を飛び出す。 向かった先は音楽室準備室。 そこで柳のギターを探し当て、それを持って彼女のいる教室に戻る。 席に着いて楽譜を確認する。 弾いたことない曲だったけど、ある程度は楽譜を見れば分かる。 「弾けるかな」 久しぶりに抱えるギターと指に引っ掛ける弦。 懐かしい気持ちはどこかしょっぱく感じた。 ふと弾く前から指先が震えていることに気付く。 手を結んでは開いてみるけど、なかなか震えが止まらない。 気持ちが無くても体が恐怖を覚えているのかも。出鼻をくじかれた気分だ。 「中井くん、落ち着いて」 指先を両手で包まれると、不思議なことに震えが止まった。 ったく、ぼくはどれだけ仲井さんを心のよりどころにしているんだろうな。 ホント、今のぼくには彼女が必要不可欠なんだと思う。 「久しぶりだから下手かもしれないけど……弾いている間、傍にいてくれないかな」 うんっと仲井さんが大きく頷いてくれる。 それだけでぼくは強くなれる気がした。 大丈夫、仲井さんが傍にいてくれるからギターを弾ける勇気が持てる。 まずは一歩踏み出そう。
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