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このシチュエーションで触れ合うということは、まさかやっぱり、キスだろうかっ。
僕はスピカの顔を月影で隠すように近づいて――、唇を優しく重ね合わせた。
月明かりのスポットライトが僕たちを照射したかと思いきや、上空に光り輝くUFOが現れた。
僕たちは重力から解き放たれて宙に舞う。
「やっぱり。あなただったんですね。思い出して。私たちは子供の頃に出会っているはずです」
「いやっ、これはなにかの間違いじゃ」
僕のおでこにスピカがキスをすると、幼い頃の記憶が鮮明に蘇った。
僕たちは二十年前にこの場所で出会っていたのだ。
迷子になって泣いていたスピカを励まして、鬼ごっこをしたりして一緒に遊んだのだった。そして日が暮れた頃に僕たちの宇宙船が迎えに来た。そう、僕たちは地球とは違う別々の星の民だったのだ。あらゆる地球人の対策は施していたものの、別の星の人間と出会うことによる身体の異常は想定していなかった。そのためスピカは未知の病気にかかってしまったのだ。
僕はスピカを治すために地球にとどまり、記憶を改ざんして地球人になりすまし、この場所で二十年間スピカを待ち続けていたのだ。スピカはある星の姫、僕はある星の王子。二人が結ばれる事なんてありえないのに。
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