第1章

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流れ星となって地球に落ちるとき、もう一つの流れ星が落ちていくのが見えた。その時僕はその流れ星にスピカが乗っていると直感した。 大気圏を抜けると二つの流れ星は平行する。 燃えさかる宇宙船を捨ててスピカが宙に飛び出し落ちて行くのが見えた。僕も宇宙船のハッチを開けて外へ飛び出し、スピカを追いかけて落下する。指先だけでも触れ合おうと、お互いに腕を伸ばして落ちてゆく。ついにスピカの腕をつかみ取ったとき、スピカの目から涙があふれるようにこぼれ落ちた。 「戻ってきてくれてありがとう。もうこのまま死んだっていい」 僕はスピカを引き寄せてしっかりと抱き締めた。 「死にはしないよ。だって、僕は飛べたんだ」 僕たちは月を横切ってふわりと星見の丘に降り立った。そして満天の星空の下、僕たちは熱く抱擁し、口づけを交わすのだった。
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