第1章

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待ち合わせ場所は通称星見の丘。その名の通り満天の星空が望めるこの場所は、UFOの目撃情報が頻繁にある場所だ。 まもなく指定時間の日没になる。 林道の暗闇から光が近づいてきた。それは弧を描いて左右に揺れた。どうやらスマホを持った手で手を振っているようだ。僕もスマホをかざして呼応する。 彼女は僕の元へ駆け寄って息を切らせると、『待ちました?』とチャットを打ってきた。 鬼の角のような髪型のお団子にはLEDが仕込んであって、ちかちかと点滅している。 『いいえ、時間ぴったりです』と返信すると、『よかった。こんばんは、スピカです』と笑顔と一緒に返ってきた。 僕を見上げるスピカと目が合ったとき、その素敵な笑顔がまるで消耗品のように段々と無くなってしまいそうに感じた僕は、すぐに目線をスマホにごまかした。 どうしたことだろう。普通の女子とは違うはずなのに、目を合わすのが恥ずかしくてしょうがない。
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