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「そうだったんですか」
「まあ、その人、偽物だったんですけどね」
鈍い刃物のような良心が、不意に僕の胸を突き刺した。
「エルグさんはどこの系外惑星から来たんですか?やっぱりどこかの赤色矮星のアイボールアースからですか?」
スピカの声色は、僕が本物かどうか、明らかに探りを入れているトーンだった。しまったことにエセ宇宙人の母星がどこかなんて決めていない。そればかりか宇宙のことに特に詳しいわけでは無かった僕は、どう答えれば無難なのかわからなかった。
「ええっと……、火星?」
「え」
スピカが眉をひそめて僕を見る。どうやら火星という言葉は禁句らしい。
「いやっ、火星の方角にある銀河のある星の……」
「ん~~?」
スピカの疑念の目つきがどんどん険しくなってゆく。ど、どうしよう。
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