第1章

8/14
前へ
/14ページ
次へ
「これはキムチ大福です。中にキムチと餡子が入ってます。こっちはナポリタン大福で、中身はナポリタンと餡子です。こっちのは梅干し大福で梅肉と餡子でしょ。そして端っこのはデザートでクッキー&クリーム大福です。おいしそうでしょ」 クッキー&クリーム大福はまだいいとして、どうして甘い餡子とそれらの食材を掛け合わせてしまったんだろう。 「エルグさん、どれから食べます?」 「ど、どれからって……」 「あ!精神だけの生命体なんだから、食べ物を食べたことがないんですよね。私のおすすめはナポリタン大福です!どうぞ、はい、あーん!」 よりによってナポリタンかよっ。 僕が唖然として口を開けたその隙に、スピカはナポリタン大福を僕の口に詰め込んだ。すぐに吐き出したい衝動に駆られたが、月明かりに照らされたスピカの天使のようなほほえみが、僕に咀嚼を強いらせた。可愛いって恐ろしい。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加