第1章

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舌触りは普通の大福と変わらぬソフトタッチだが、ひとたび噛むと無駄にアルデンテの太めのパスタがぷちっと歯切れて、ケチャップ風味のウインナーとタマネギが弾けるように飛び出してくる。そうかと思えば途端に餡子が主張し出して、味を相殺するかのように甘味が舌全体をまったりと包み込んでいく……。 「おいしいですか?」 「オイシッ、うぶっ、み、水……」 僕がむせるとスピカは急いで鞄から缶ジュースのような物を取り出した。そしてプルタブをぷしゅっと開けて僕に手渡す。 「はい、これ飲んで!」 流し込むようにゴクリと飲むと、炭酸のシュワシュワが口内を瞬く間に洗浄してゆく。ちょっとほろ苦い。 「これなに?」 「ビールです」 再び噴き出しそうになる。 この宇宙的な味覚……。宇宙人ってこんなもんを食ってやがるのか。
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