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ソファに腰掛けて部屋の中をぐるりと見回してみると、祐也が言っていた通りに漫画や雑誌の棚があり、大きなコーヒーマシンが置かれているのが目に入った。 客はわたし以外に女性と男性が1人ずついて、どちらも沈鬱な面持ちで番号札を握りしめてソファに沈んでいた。 ここに来る人の目的は、みな同じなのだろうか。 漫画を読む気になれず、ぼうっとしていたら、マグカップをトレーに載せた男性が現れた。 「どうぞ、ブレンドコーヒーです」 「あ、どうも」 彼もスタッフの1人だろうか。 すらりと背が高く、白衣姿でコーヒーを配る姿は少し妙だったけれど、とてもスマートな身のこなしだった。 固くなっていた他の2人の客も、彼に勧められるままにコーヒーを受け取っていた。 女性客なんて、2杯目だ。 スタッフの男が空のマグカップを回収し、奥へと引っ込んでいった。 こんなに客が少ないのだから、コーヒー係くらい受付嬢がやればいいのに。 彼女は澄まして腰掛け、書類仕事をするでもなく来客を待ち構えている。 ……。 「6番の方、ルーム2へどうぞ」 「7番の方、ルーム1へどうぞ」 機械音声が立て続けに呼び出しを掛け、ソファに沈んでいた2人があたふたと立ち上がった。 女性の方はまだコーヒーを飲み終わってなかったらしく、ごくごくと喉を鳴らしながら飲み干し、席を立った。 心細さを胸に、わたしは同志を見送った。
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