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「結論から申し上げますが、DNAは一致しました」
わたしが椅子に掛けるか掛けないかのうちに、彼はあっさりとそう言って、診断書を差し出した。
ひどいタイミング。
転げ落ちるかと思った。
え? っていうか、ほんと?
やったぁ……っていうのも、ヘンか。
……どういう返事をしていいのかわからない。
「喜んで、いいんですよね?」
「それはご自身で判断することです」
突き放すように冷たい口調だった。
顔付きはやはり暗い。
暗いというより、何か不機嫌そうにも見える。
「あの、何か……怒ってますか?」
おそるおそる問いかけると、おじさんはふうっと小さなため息を吐いた。
「あなたで3人目です」
「はぁ」
「未成年の依頼者、今週3人目なんです。そのうちの1人はあなたと同じ高校生」
ちょっとちょっと、守秘義務があるんじゃないの?
別に個人情報というわけでもないから、いいのだろうか。
それにしても、話の繋がりが読めない。
首をかしげて続きを促すと、おじさんは遠慮せずに話し始めた。
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