5.

5/7
前へ
/22ページ
次へ
「結論から申し上げますが、DNAは一致しました」 わたしが椅子に掛けるか掛けないかのうちに、彼はあっさりとそう言って、診断書を差し出した。 ひどいタイミング。 転げ落ちるかと思った。 え? っていうか、ほんと? やったぁ……っていうのも、ヘンか。 ……どういう返事をしていいのかわからない。 「喜んで、いいんですよね?」 「それはご自身で判断することです」 突き放すように冷たい口調だった。 顔付きはやはり暗い。 暗いというより、何か不機嫌そうにも見える。 「あの、何か……怒ってますか?」 おそるおそる問いかけると、おじさんはふうっと小さなため息を吐いた。 「あなたで3人目です」 「はぁ」 「未成年の依頼者、今週3人目なんです。そのうちの1人はあなたと同じ高校生」 ちょっとちょっと、守秘義務があるんじゃないの? 別に個人情報というわけでもないから、いいのだろうか。 それにしても、話の繋がりが読めない。 首をかしげて続きを促すと、おじさんは遠慮せずに話し始めた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加