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2.
祐也の口ぶりだと、本当に簡単そうに聞こえた。
「……つまり、その“店”ではDNA鑑定をしてくれるってわけね?」
メロンソーダをストローでかき回しながら、わたしはふうーっと息を吐く。
大好きな味だが、今日は胸に炭酸がつかえているような感覚がなかなか抜けない。
「なーんか、アヤシイなあ」
「ま、信じるかどうかはお前次第」
そう言って彼はアイスコーヒーを飲み干し、席を立った。
ここのファミレスは、ドリンクバーだけでいつまでも居座れる。
ランチタイム等、混雑時はドリンクバーのみの注文はご遠慮くださいとメニュー表には書かれているが、今は夕方だし、もちろん遠慮なんてしない。
考えることは皆同じ。
横も、後ろも、わたしたちと同じブレザーの集団がテーブルを陣取っている。
きっと、ここの店長はわたしたちの存在を苦々しく思っているだろう。
でも、そんなことわたしたちは気にしない。
高校のすぐそばにファミレスを構える方が悪い。
ドリンクバーに向かう幼馴染の後ろ姿を見送りながら、わたしは今聞いたばかりの話を反芻していた。
難しい手続きは何もいらない。
お金もそんなにかからない。
ただその「店」とやらへ行って、あとのことはそこにいるスタッフに任せておけばいい。
それで、わたしの両親が本当の両親か知ることができる……たった、髪の毛1本で。
ほんとうに?
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