2.

3/3
前へ
/22ページ
次へ
「……とにかく、おれは救われたんだ。だからお前にも勧めたいと思った」 わたしのいら立ちに気付いたのか、それとも無意識か。 彼は急にまじめな顔つきになってわたしをまっすぐに見つめた。 思えば、こんな話になったのも、彼がわたしの悩みを親身になって聞いてくれたからだった。 両親のことを話してみようと思ったのは、他の誰でもない、付き合いの長い彼だったから。 まあ、信じてみても、いいかな。 「うーん、まあ……いっか。行ってみるよ」 「そうそう、そうしな」 祐也はほっとしたような顔をして目をそらし、また謎ドリンクを一口啜った。 「バイト、大変なの?」 「まあね。スマホ落としたら画面割れちゃってさあ。 修理費用自分で出せって親に言われてんだよね。そーゆーわけで……」 彼はにかっと笑いながら、小さなバインダーに留められた伝票をわたしの方へ向けた。 「紹介料は、ここのおごりね」 「別にいいけど、ノート貸してやんないからね」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加