雅弘さん

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しばらくバスに揺られていると、当たり前だけど周りの学生は兄の高校の生徒ばかりになっていた。 バスから降りれば、初めて来た高校になんとも言えない緊張感に襲われた。 正門まではここから少し一本道になっている。 どうしようかと迷ったが、その一本道に少し入った所で声を掛けるタイミングを狙う事にした。 いや~…思いの外、勇気のいる事だな。 目の前を通りすぎる学生を目で追うことしか出来ない。 でも、夏服でまだ良かった。 似たようなポロシャツだし、見た目はそこまで浮いてないハズ。 …と思ったけど、さっきからチラチラと視線が痛い。 何故だ?やっぱりズボンの違いか? 兄は学ランだから、ズボンは真っ黒。オレはグレーのチェック。 あれれ?目立つの…かな? いやいや、今はそんな事言ってる場合じゃない。早く任務を遂行しなければ! オレはできる!オレはできる! ちょっと人を呼んでもらうだけだ、うん。
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