雅弘さん

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「なになに?その制服、南高じゃね?」 「マジ、ウケるんですけどぉ~」 顔を見上げると、茶髪で化粧もばっちりな女子生徒二人がキャッキャッしながら近付いてきた。 うわぁ……うちの学校にはなかなか居ないタイプだ。正直怖い。 オレの不安顔見て、お姉さま達は「キャッ可愛い!」などと言って来た。 やめてくれ。可愛いなんて言われて嬉しくもない。 女子のソレは、アリからゾウまで…いや、宇宙人にだって言うのを知っている。 「あ、えっと…人を呼んで頂きたいんですけど」 「え?誰を?ウケる!」 「キャハハッ!南高がうちに?誰?誰?女?」 うぅ、グイグイくる…でもこれを逃すわけにはっ! まだまだキャッキャッしてるお姉さま達に意を決して言った。 「す、すみません。2年5組の橘 久零を…」 「「………」」 「あのぉ、橘 久れ……」 「でさ~、駅前のカフェあるじゃん?」 「パンケーキ?」 「そうそうそう!今日行こ~!」 「ウケる~」 そう言いながらお姉さま達はオレの前からスッと消えていった。 恐ーー怖ッ!! 女子、恐ーーー怖ッ!!! オレ、なかった事になってるー?? ……メンタルやられました。
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