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成長と共に、直接的な被害はなくなったが…
ヤンキーの兄を持って迷惑被ったこと数知れず。
空手を習っていた兄が凶暴化したのは小学5年から。
始めのうちは腕試しと言わんばかりにオレや友達相手に暴れまくっていたが、
中学生にもなると、もはやそれは空手ではなくケンカと化していた。
そんな兄がヤンキー達に目をつけられるのも必然的で…確か中2の時に3年の先輩を倒した辺りから、一目置かれる存在になっていた。
だから常にオレは
『橘 久零(クレイ)の弟』
そんな目で周りから見られていた。
ここで重要なのは、オレはただの一般人であることだ。
兄を選択できない。その意味は『久零の弟』という言葉が長い間重くのし掛かっていたから。
「あの橘の弟が入学してきた。」
「久零の弟、どこだ?」
「兄には勝てないけど、弟には勝てるかも。」
中学時代…無意味な喧嘩を売られ、殴られては泣いていた。
兄の空手の相手にされていた頃とは違う、他人からの暴力に怯えた日々。
やたらケガをして帰ってくるオレに気づいた兄は、そんな奴等を倍返しどころか何十倍返しにしてくれたんだけど…
あぁ…
その頃だったかな?
兄の友達が変わり出したのは。
突然金髪になって、ピアスもし始めた。
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