雅弘さん

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「1日くらいどうにかなるでしょ?」 「昨日テレビでやってたのよ!『万引き少年の末路』みたいな番組~!久零が昼メシ欲しさにそうなったらママまじ心配!だから!」 いやいやいや… 遊びに来る兄のヤンキー仲間を毎日見といて、今さら万引きでビビる方がどうかしてるよ。 あ、いや万引きは犯罪だからダメだけとね? オレなんてこの間、兄の部屋から出て来たピアスだらけの坊主と鉢合わせして正直チビるかと思ったし。 まぁ母親ってのは、なんだかんだ長男には手を掛けるんだよなぁ…。 それに、目をうるうるさせながら「玲音~~」と お願いしてくる母にも……オレは結局甘いのだ。 そして、兄の呪縛~兄の呪縛と唱えてはいるが、困っているであろう兄を助けたいと思ってしまっている自分も大概だし。 「分かったから、今日は唐揚げにしてね?」 「わぁい!玲音ちゃん!好きっ!」 はいはい。と、母には軽く手を振ってテーブルの上の忘れ物達を紙袋に入れて玄関へと向かった。 オレの高校は家からバスで30分ほどだが、兄の高校まで一旦行くとなると…完全に遅刻だ。 やっぱりやめようかと振り返ったが、母が笑顔でオレを見送っていた。 なんだかタイミングを逃してしまいそのまま玄関を出るのだった。
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