夢を見たい

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その奇妙な店は、私の家から繋がっている。 いつからかこの午前二時に、壁に映し出された光が扉へと変わっていた。 取っ手が握れることも知っていたのだが、それを知った日は悪い夢だと早々に寝てしまった。 その後は、これを見ないために早くに寝ていたのだ。 だと言うのに、私は。夜、突如目が覚めた。 何となく起き上がったのはいいけど目を開けるのも辛い。まだ眠くてふらりと揺れる。 危ないと思って近くにあったものを引っ掴めば、この奇妙な店に入り込んでいた。 「いらっしゃいませー。」 別に髪が長いとか、そういう訳では無いのに顔の見えない店員が一人。そいつが座る椅子と、カウンター。 それしかない空間。いや、目を凝らせば壁の方に微かに光が、火の玉のような形のものが浮いている。 あ、夢だな。そう思う事にした。 「お客さん?商品を取りに来てくれないかな?」 「あ、すみません。」 反射的に返し、カウンターに向かって一歩踏み出せば、後ろの方でカチャリと音がした。おそらく扉がしまったのだろう。 「今回は初回サービスで鍵を渡しとくから。これを何処かの壁に突き刺せばまた来れるからね。」 「……はい。」 虹色の布がたなびいている様な。鍵とは思えないものを渡された。チェーンが通してあって、首にかけれるようになっている。 「お代はもう貰ったし。はい。」 お代なんて払った記憶はないが、これは夢。流されてしまえばいい。 次に貰ったのは何も入っていない小瓶。 「これは何ですか?」 「君が今一番欲しがっているものだよ。」 欲しいものなんて別に無いのに。 もし貰えるなら、そうだな。元気かな。もしくは、熟睡したい。 「さぁ、それを持って外に出てごらんよ。」 そう言われて、閉まっていた扉を開けた。
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